猫みくじ「人生の転機には、たったひとつの言葉が刺さることがある」

言葉はときに 人の選択を変え 人生の支えになる 猫みくじ

⏳人生の転機には、たったひとつの言葉が刺さることがある

仕事を辞めるとき、人は多くを語らない。
どこへ行くのか、何をするのか、あえて言わずに去ることが多い。
関係がこじれるのを避けたいし、嫉妬や詮索も避けたい。
だから「お世話になりました」で済ませるのが、社会人の処世術だったりもする。

でも、どうしてもひとりだけには話しておきたい人がいる場合がある。
かつて自分を支えてくれた人。
心から信頼している人。
人生の方向性に影響を与えてくれた人。

その人にだけは、次の道を正直に話したくなる。
報告ではなく、感謝を込めた共有として。


🧤仕事の話をしているのに、人生の話にすり替わった瞬間

そんな場面で、ふと投げかけられた言葉がある。

新しい職場について説明しているときに、
相手が真っ先に聞いてきたのは、肩書でも年収でもなく、**「日々の過ごし方」**だった。

「早く帰れるのか?」という問い。
そこに込められていたのは、**“働き方の哲学”**だった。

自分は答えた。
聞いている限りでは、無理な残業はなさそうで、定時で帰れる環境だと。

すると、返ってきたのはこんな言葉だった。

「羨ましいよ。できるだけ早く家に帰って、家族と過ごせ」
「これが、私からの最後の指示だ」
「ただし、子どもが小学校に入ったら、その指示は解除される。そこから先は、好きなだけ働けばいい」

静かな口調だった。
命令でも圧でもない。
でも、これ以上ないくらいの説得力があった。


🛏 何気ない夜のルーティンの中で、思い出す言葉

あれから、数年の月日が流れた。
新しい環境にも慣れ、仕事の充実感も感じながら、
定時で家に帰り、夕飯を囲み、子どもと風呂に入り、寝かしつける。
そんな、穏やかな毎日。

ある夜、髪を乾かしてあげながら、ふとあの言葉が蘇った。

「早く帰って、家族との時間を取れ」
「それが最後の指示だ」

何気ない暮らしの中に、かつての言葉が根を張っていたことに気づいた。

仕事のために何かを諦めることが“美徳”のように語られていた時代。
その中で、「家族を最優先しろ」と真正面から言ってくれたその人の言葉は、
どんなマネジメント理論よりも、心に深く残っていた。


🪞「誰かの時間を守れる人」こそ、本物の上司

今、自分も人をマネジメントする立場になって、あの言葉の意味がより深く理解できる。

部下のスケジュール管理や評価はできても、
その人の人生の“優先順位”に踏み込める上司は、ほんのひと握りしかいない。

「もっと上を目指せ」
「今が勝負どきだ」
「やる気を見せろ」

そんな言葉はいくらでも飛び交う。
けれど、
「家族を大事にしろ」
「人生の今、この時間を守れ」
そう伝えるには、相手を深く理解していなければできない。

その人は、部下の“成果”よりも、“生き方”に責任を持とうとしてくれた。
そんな上司、そういない。


🔦「働く」ってなんだろう

働くとは、成果を出すことかもしれない。
社会に貢献することかもしれない。
でも同時に、「何のために働くのか」を忘れてはいけない。

それは、誰かを守るためだったり、
家族との時間を確保するためだったり、
自分自身の生きがいを形にするためだったりする。

「働く=人生を削ること」ではない。
「働く=人生を豊かにする手段」でもあるはずだ。

そして、それを忘れそうなとき、
心の中で思い出す声があるのは、とても幸せなことだ。


🗺 言葉は、地図になる

あのときの言葉は、口頭で交わされた会話でしかない。
SNSに残っているわけでも、メールで残っているわけでもない。

けれど、心の中ではずっと“指令”として生き続けている。

  • 今日も早く帰ること

  • 家族と一緒にごはんを食べること

  • 子どもの話をちゃんと聞くこと

  • 「普通の時間」を守り続けること

それは、自分が選んだ生き方でもあり、
かつて信頼した誰かが教えてくれた、“働く”ということの本質でもある。

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