我慢をやめるために必要なのは、“会話する勇気”
「聞けばすぐに済むことなのに、勝手にぐるぐる考えて、最終的に“私ばかり我慢してる”って思ってしまう」
誰かがそう言っているのを聞いて、胸の奥がズキッとした。
まさに、自分が何度もしてきたことだったから。
自分の中で悩みを深く深く掘っていって、
本当はたった一言、相手に聞けば済むことを、
いつの間にか巨大な“被害意識”に変えてしまっていた。
人間関係のもつれは、
「言わない選択」が積み重なった結果、育ってしまうものなのかもしれない。
🌀ぐるぐる思考の罠:「我慢してる私」になってしまうまで
たとえば、ちょっとしたすれ違いや、
相手の言動に感じた違和感。
「今、こう言ってくれたらよかったのに」
「どうして私だけ気を遣わなきゃいけないんだろう」
「もしかして、軽く見られてる?」
そんなふうに思っても、
その場では聞けなかったり、問いただせなかったりする。
理由は、さまざま。
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空気を壊したくない
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面倒だと思われたくない
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感情的になりたくない
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なんだか怖い
そうして“聞かない”という選択を繰り返すうちに、
頭の中では“答えのない会議”が延々と始まる。
ぐるぐると思考が回り続け、
やがて、「私ばかりが我慢している」という結論にたどり着く。
🧠思い込みが“事実”に変わっていく怖さ
本当は、まだ何も確定していないのに、
自分の中で何度も反芻した「想像のシナリオ」が、
いつの間にか“確かな事実”のように感じられてしまう。
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相手は私の気持ちなんて気づいてない
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どうせ理解してもらえない
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言ったところで、変わらない
そんな“自己完結”が心を支配していくと、
コミュニケーションの扉は静かに閉じてしまう。
でもその扉を閉じたのは、
自分だったりもするのだ。
🗣「聞くこと」は、たしかに勇気がいる
もちろん、相手に直接聞くというのは簡単なことじゃない。
特に、繊細な話や、感情が絡む話題であればあるほど、言葉にするのは怖い。
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嫌われたらどうしよう
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話をはぐらかされたら傷つくかも
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面倒な人だと思われたくない
だから、無意識のうちに「黙る」ことを選んでしまう。
そしてその“沈黙”が、自分の中に蓄積されていく。
だけど本当は、
「聞かない」という選択もまた、“対話の放棄”なのだと、どこかで分かっている。
🧩言葉にしない限り、「伝わらない」ことはたくさんある
どれだけ気の合う相手でも、
どれだけ長く一緒にいる人でも、
言葉にしなければ分からないことはたくさんある。
それは、愛情や信頼とは別の話。
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本当に気になっていたこと
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実は少し傷ついていた場面
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分かってもらいたかった気持ち
そういうことは、ちゃんと伝えないと、相手には見えない。
相手が悪いわけじゃない。
人にはそれぞれの“感じ方”と“受け取り方”があるから。
だからこそ、「私はこう感じたよ」と伝える勇気が必要なのだ。
🧘♀️我慢しすぎる人ほど、言葉を飲み込んでしまう
特に、まわりに気を遣いすぎる人や、
“いい人”であろうとする人ほど、
自分の感情をしまい込む癖がある。
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これくらい我慢した方がうまくいく
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大人なんだから、感情的になるのはやめよう
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私さえ我慢すれば、場が丸く収まる
でもそれって本当に、
“大人な対応”なんでしょうか?
誰にも何も言えず、ただ溜め込んで、
ある日ポキッと折れてしまうくらいなら、
少しずつでも、自分の本音を“外に出す練習”を始めた方がいい。
🔄“聞く”ことで、関係が変わることもある
たとえば──
「この前ああ言ってたけど、もしかして怒ってた?」
「私はあのとき、ちょっとモヤッとしてたんだよね」
「私、実はけっこう気にしてたんだけど…どう思ってた?」
そうやって小さな“問い”を差し出すことで、
空気が変わることはある。
意外と、相手も「気づいてなかった、ごめん」と返してくれるかもしれない。
あるいは、「え、それってそんなふうに伝わってたんだ」と、
誤解が解けることもある。
コミュニケーションとは、
言葉のキャッチボールを始めないと始まらない。
🌱溜め込まないための、ほんの少しの意識
毎回、正解の言葉を出す必要はない。
勇気をふりしぼって、立派な話し合いをしなくてもいい。
でも、心がザワついたときに、
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「これって、聞いてもいいやつかも」
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「ちょっと話してみようかな」
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「思い込みで進まないようにしよう」
そうやって一呼吸置く意識だけでも、ずいぶん違う。
“ぐるぐる”に入る前に、一歩だけ踏み出してみる。
それは、自分の心を守るための小さな行動です。
📝最後に
「私ばかり我慢してる」って思う前に、
その気持ちを誰かに伝える勇気を、少しずつ育てていきませんか。
聞くことは、怖いことかもしれません。
でも、聞かないままで抱え続ける方が、もっと苦しくなることもある。
相手のことを信じてみる勇気。
自分の感情を、なかったことにしない強さ。
その両方が、人との関係を“本当の意味での安心”へ導いてくれるはずです。