切りたくて切るわけじゃない──「リセット症候群」の裏にある、愛と恐れの話
人間関係を急に切ってしまう人がいる。
しかも、それまで親密だったはずの関係ほど、何の前触れもなく。
それを見て、「ドライな人だな」とか「自己中」とか、
簡単な言葉で片づける人は多いかもしれない。
でも、ほんとうにそうなのだろうか?
本当は、むしろ逆なのかもしれない。
“大切に思いすぎてしまう人”が、自分から壊してしまうということも。
壊したいんじゃない。
壊れるのが、怖すぎるだけ。
💬 突然、距離を置く人の気持ち
「昨日まで普通だったのに、急に連絡が取れなくなった」
「仲良くしてたのに、ブロックされていた」
「何かした覚えはないけれど、突然切られた」
そんな経験がある人は多いかもしれません。
あるいは逆に、自分がそうしてしまった側の人もいるでしょう。
この行動はしばしば「リセット症候群」と呼ばれます。
何かに耐えきれなくなって、人間関係をゼロに戻してしまう――
でも、それは単なる衝動的な「逃げ」ではないのです。
💔 切るのは、嫌いになったからじゃない
誤解されがちですが、
関係を断ちたくなるのは、相手を嫌いになったからではありません。
むしろ逆。
・この関係が壊れたとき、耐えられる自信がない
・いつか嫌われる未来を想像してしまう
・自分の小ささや弱さが、いずれ見透かされてしまいそうで怖い
そういった**“愛しているからこそ生まれる不安”**のほうが、よほど大きくて重い。
その重さに、耐えられなくなる瞬間がある。
だから先に、自分から関係を切ってしまう。
🌪️ 感情が深い人ほど、“ゼロか100”になりやすい
「距離を取ればいいじゃない」
「一旦、静かにしてみたら?」
そんなアドバイスが届かないほど、感情は極端に揺れ動く。
なぜなら、本気で誰かを大切にしている人ほど、バランスの取り方が難しいのです。
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どこまで踏み込んでいいのかわからない
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怖くて甘えられない
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優しくされるたびに、不安が増していく
そしてある日、「もうこれ以上、期待したくない」と思ってしまう。
その瞬間、感情のスイッチは**“すべてシャットダウン”**に切り替わる。
これ以上、傷つきたくないから。
これ以上、期待してがっかりしたくないから。
🔍 「リセット」ではなく「自壊」なのかもしれない
“リセット”という言葉は、
どこか冷たくて、合理的に聞こえる。
でも、実際のところは自分で自分の心を壊してしまうような行為に近い。
「このまま関係が続くのは怖い」
「でも、失うのも苦しい」
そんな矛盾に引き裂かれそうになって、
一番つらい選択を、自分自身で下すしかなくなる。
それは逃げでもズルさでもなく、一種の自己防衛反応。
ほんとうは、ずっと続いてほしかった。
だけど、その未来に手が届かない気がして、自ら扉を閉じてしまう。
🪞 自分の弱さを知られるのが、怖い
多くの場合、「切る側」の人たちは、
自分が弱いことをよく知っている。
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傷つきやすい
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嫌われたくない
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承認されたい
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でも、心を開くのが怖い
それらをすべて、相手に知られてしまうことが、
“いちばんの脅威”になる。
親密になればなるほど、自分の本当の姿が見えてしまう気がする。
そして、その“本当の自分”が愛されないことが、なにより怖い。
だから、「まだ好かれているうちに終わらせる」。
それが、切るという行為の裏側にある、切なすぎる心理。
🫧 本当に望んでいるのは、“切ること”ではない
勘違いされやすいけれど、
リセット症候群の人たちは、本当は孤独を求めているわけではありません。
むしろ、人一倍つながりを求めている。
ただ、「愛されること」に傷ついてきた経験が多すぎて、
誰かとの距離をどう測ればいいかわからなくなってしまった。
だから、いちばん安全な方法――
**「自分から壊すこと」**を選んでしまう。
切ってしまったあとも、後悔がずっと残っている。
戻りたくても戻れない。
言葉にすればするほど、誤解されそうで、何も言えなくなる。
🌱 切らずに済ませるには、どうすればよかったのか
じゃあ、切らずにいられる方法はあったのか?
答えはきっと、「自分を許すこと」だった。
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愛しすぎてしまうこと
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相手の反応に一喜一憂してしまうこと
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不安に飲み込まれてしまうこと
それらを「ダメな自分」だと思わずに、
ただの「自分の一部」として受け入れることができていたら。
きっともう少し、関係を“壊さずに”守る方法があったのかもしれない。
🤲 「また築く」ことは、今からでもできる
切ってしまった関係は、すぐには戻らない。
でも、すべてを失ったわけでもない。
「壊すしかなかったんだな」と気づけた自分がいるなら、
次はもう少しだけ、違う向き合い方ができるはず。
逃げてもいい。
また不安になってもいい。
ただ、次に誰かと心をつなぐときは、
**「壊れるのが怖いからこそ、壊さない努力をしてみる」**という選択肢がある。
✨ まとめ:「切った人」は冷たいのではなく、愛しすぎて苦しかっただけ
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リセット症候群の根底には、深すぎる愛情と恐れがある
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関係を切るのは、傷つく未来に耐えられないから
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親密になるほど「本当の自分」が見えてしまい、それが怖くなる
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本当は、壊したくなかった。でも、怖くて仕方なかった
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次こそは、自分を否定せず、少しずつ人と向き合えるように
壊したかったんじゃない。
壊れるのが、どうしようもなく怖かっただけ。
それを知っている人は、決して冷たい人なんかじゃない。
むしろ、優しすぎて、傷つきやすくて、人を大切にしすぎる人。
そのままでいい。
ただ少しずつ、壊さずに守る方法を知っていけばいい。
そして次は、「逃げずにいられた自分」を、誇れる日が来るはずだから。
💡noteタイトル案(ご希望に応じてご活用ください)
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切りたくて切るわけじゃない──リセット症候群のほんとうの理由
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愛しすぎて壊す人たちへ──「切る」ことの奥にあるやさしさ
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関係を壊す人は、冷たいんじゃない。優しすぎるだけだ